現在のファッション・小売りブランドが、業務を効率化し、グローバルに連携して、状況を見える化するためには、製品ライフサイクル管理(PLM)が必須のアイテムになっています。企業規模に関わらず、ニーズに合ったPLMを見つける方法をご紹介します。
1. スピーディな商品化へのプレッシャー
デザイナーから販売企画まで、商品化の業務に関わる人たちは、スケジュール通りに業務を進めることのプレッシャーを抱えています。ファストファッションのスピード感が業界の標準となりつつある現在では、タイトなスケジュールに合わせることが求められており、顧客も「見た商品を今すぐ買いたい」と考えています。
商品化までの作業をより簡単にして、デザイナーのアイデア作りから、それが商品となって顧客の手に渡るまでにかかる時間を短縮するためには、社内外でどう協業すればよいのでしょうか?PLMを使って状況を可視化することで、スケジュールを精査し、不要な作業をなくして業務を効率化することができます。
2. 成長
ビジネスの成長は喜ぶべきことですが、商品の需要が高まると、SKUが増えたり、企業を買収したり、サプライヤ数が増えたり、リストラを行ったり、新しいラインを立ち上げたりと、課題も発生します。人員を増やすという手もありますが、いくら人を増やしても、最終的にはExcelとメールでは管理しきれない状況に陥ることになります。
人員を増やすことなく、プロセスの改善やシステムの活用で、業務を効率化することはできないでしょうか?PLMを導入すれば、成長をサポートし複雑なサプライチェーンを管理する基盤となるので、人員を増やすことなく既存のリソースだけで対応することが可能です。
3. コンプライアンスの遵守
安全性とコンプライアンスは、アパレルビジネスや小売り、特に子供向けの商品を扱う企業にとっては、大きな課題です。PLMを使えば、最新の証明書情報を管理して、各国やエリアのコンプライアンスを管理することができます。PLMに商品データベースを作ることで、規制が変更された時に、再試験が必要な商品を簡単にリストアップしたり、期限を設定して各商品のドキュメントを最新に保つことが可能です。
さらに、PLMで特許や商標の侵害にあたるかをチェックできるIPライブラリを用意して、知的財産の管理を行うこともできます。またあまり知られていませんが、PLMで研究開発を管理することができるので、アメリカに本社を持つ企業は、年間のデータをエクスポートして会計士に渡せば、研究開発税の控除を受けることもできます。
4. 共通の認識
情報を一ヶ所に集約することは、非常に重要です。同じデータのはずなのに他の部署の人と数字が違う、という経験はありませんか?共通の認識が持てないことで、状況が混乱したり白熱したり、無駄に忙しくなったりしてしまいます。
また、同じデータを様々な形に加工することが求められることもありますが、PLMを使えば、リアルタイムのデータベースから、ニーズに合わせて様々なカットのレポートを簡単に作成できるので、レポートやプレゼン資料の作成にかかる時間を大幅に削減できます。そして、レポートや仕様書、BOMは誰が操作しても同じものができあがるので、生産拠点やサプライヤと一貫した情報をやり取りすることができます。
5. データの統合
組織全体でデータを統合することで、業務にかかる時間を大幅に削減することができます。複数のシステムにデータを何度も入力する作業は、イライラするだけでなく、時間も無駄になり、ミスを誘発してデータの信頼性を低下させてしまいます。
PLMを使えば、各ブランドやカテゴリー、システム間でマスターデータを統合して、一貫性のある商品情報を管理できます。マスターデータを常に最新の状態にしておくことで、社員全員がそれを活用し、より価値の高いクリエイティブな作業に集中して取り組めるようになります。
6. スケジュールリスクの管理
納期に間に合わせるために、航空便を使ったことはありませんか?ギリギリで変更が入って、生産スケジュールに影響が出たことはありませんか?このようなことはよくあることですが、本来は計画を一から練り直す必要はありません。
PLMを導入すれば、事前に効率的に計画を立てて、プロセスの初期段階で変更を管理し、生産に影響を及ぼすリスクを発見して、問題が起こったらすぐに対応することができます。ワークフローを設定してスケジュール立てれば、不測の事態に注意を払って、状況に合わせて計画を変更し、期待値を管理することができます。
7. テクノロジーを使わずして効率的な商品化は達成できません
今行っている仕事の中で、テクノロジーを使って改善することができないものはあるでしょうか?20年前にはインターネットは新技術でしたが、今では生活の基盤となっています。PLMも、もはやインターネットと同じで、特別なものではありません。そして多くのハードウェアやリソースを必要とするものでもないのです。
今のPLMは、軽くてスピーディで、導入も簡単です。そして、商品開発でデジタルトランスフォーメーションを進めるための基盤となるシステムです。一度導入すれば、AIや3Dプリンターなどのさらなる新技術の導入への道も開かれます。
ファッション・小売りブランドが、変化の激しい時代に対応するために、PLMは必要不可欠です。PLMはただのシステムではありません。働き方を根底から変えるための哲学であり、プロセスなのです。
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